管理薬剤師の「うつ病」体験談 (傷病手当金)
もし、薬剤師が病気やケガで仕事を長期離脱してしまった場合、収入や生活はどうなるのでしょうか?
薬剤師の皆さんは、そんな不安を感じたことはないでしょうか?
医療従事者など普段から健康に注意をしている職業の方でも、病気やケガをしてしまうことがあります。
仕事中や仕事が原因で起こった病気やケガの場合には労災保険が支給されますが、プライベートなど仕事外で生じた病気やケガでは労災保険は受けられません。
でも大丈夫!そんな時は、傷病手当金を利用することができます。
(詳しくは、薬剤師のための傷病手当金申請マニュアルをご覧ください。)
長期間仕事を休んでも安心!
仕事外でのケガや病気の場合には、傷病手当金が受給できます!
特に、医療従事者はストレスが多い職業の一つですので、「うつ病」などの精神疾患にかかる薬剤師の方も多くいます。
当サイト管理薬剤師が、実際に「うつ病」で傷病手当金を受給した時の手続きや感想などの体験談を紹介します。
うつ病で仕事を辞めてしまう前に、必ず読んでもらいたい内容です。
※ 仕事が原因でうつ病になった場合には労災保険が適用される場合もありますが、うつ病による労災認定のハードルは高く、現実的には傷病手当金を受けることになるケースが多いです。
薬剤師が病気(うつ病)になったら
薬剤師と密接な関わりのある病気の一つとして「うつ病」があります。
調剤薬局で薬剤師をしていると、一度は「うつ病」の患者さんへ投薬や服薬指導をした経験があるかと思います。
WHOによると、うつ病は2020年にはすべての疾患の中で2番目に経済的打撃を与えると予想されている疾患です。早期察知・対応が大切とされていますが治療が遅れてしまうことが多く、不十分な治療では寛解に至らず、病状が遷延することで自殺に至る例もあることが知られています。
そんな「うつ病」に、医療従事者である薬剤師自身がなってしまったらどうすればよいのでしょうか?
薬剤師も「うつ病」になる
薬剤師が「うつ病」になるなんて恥ずかしいと感じてしまったり、自分の弱さが「うつ病」の原因だと自分を責めてしまう人もいるかもしれませんが、実際は薬剤師を含む多くの医療従事者も「うつ病」になっています。
私もこれまで、一般の薬剤師だけでなく管理薬剤師や薬局開設者が「うつ病」になって悩んでいるのを見てきました。
しかし、それでも「自分は大丈夫だろう」と思っていました。
そんな私も「うつ病」と診断されてしまったのです。
そう、「うつ病」は誰しもがなる可能性がある病気なのです。
今は大丈夫な方でも、今後の「もしも」に備えて「うつ病」になった時の対応や知識を持っておくとよいのではないでしょうか。
うつ病に自分がなるとは思ってもいませんでした・・・
軽症うつ病になったら注意しましょう!
<軽症うつ病の特徴>
- 通勤途中で帰りたくなる
- 朝起きると気持ちが落ち込み、夕方になると楽になる
- 新聞やテレビを見る気がしない
- 人と話したくない
- いっそのこと死にたくなる
まずは、職場環境を変えれるか検討する
うつ病の原因が職場のストレスや人間関係である場合には、職場環境を変えることで症状が軽快する可能性があります。
まずは、環境が改善できるかを検討しましょう。
複数店舗ある調剤薬局やドラッグストアなどでは、店舗の異動などで職場環境を変えることが可能です。まずは、上司や会社などに相談しましょう。
しかし、店舗数の少ない薬局ではどうしても社内での異動が難しく、退職を余儀なくされる場合があります。
その場合には、我慢して体調を崩してしまう前に早期の転職による職場環境の改善を検討する必要があるでしょう。
まずは、休養や環境調整を行う必要があります。
自分にあった職場(求人)を探して、ストレス軽減しましょう!
うつ病などで気分が落ち込んでいるときには、転職活動も思うようにいかないこともあります。そんな時は転職コンサルタントに相談することで、あなたの転職をサポートしてくれます。薬剤師の求人・転職なら「ファルマスタッフ」
がお勧めです!
生活のため仕事を辞められない薬剤師
そうは言っても、多くの薬剤師の方はすぐに仕事を転職したり辞めたりすることはできません。仕事にストレスや不満があったとしても、様々な理由で休養や転職を先延ばしにしてしまいがちです。
転職により環境を変えることで症状が改善すると分かっていても、人は現状を変えることに対する不安や抵抗感があります。また、真面目で責任感の強い薬剤師ほど、病気を自分の責任と考えてしまったり、この状況を何とか乗り切ろうとさらに頑張ってしまいます。
その結果、症状がより悪化してしまうこともあるのです。
そして、仕事を休めない理由の一つとして、休養中の生活という現実的な問題があります。
うつ病など精神疾患の治療をしようと思うと、場合によっては数ヶ月〜数年に及ぶ可能性もあります。
その期間の給料の支払いがなければ安心して治療に専念することはできません。
平均年収が500万円を超える薬剤師にとって、その収入がゼロになることの影響はかなり大きなものがあります。
患者さんを相手に服薬指導している時には、精神疾患の方の病気以外の生活面の悩みなどには気づきにくいものです。
自分が、うつ病になり休養を考えた時には、このような現実的な壁にぶち当たることになるのです。
休養したいけど、その期間の生活や収入に不安がありますよね。
しっかり療養しよう!
サイト管理薬剤師の場合には、休養や治療を後回しにして我慢してきたことは、やがて症状の悪化という形で現れてきます。
集中力の低下、注意散漫になり、薬剤師としての業務にも影響が出てきます。
頑張れば頑張るほど、自分の本来の能力を発揮できない悪循環に陥っていきました。
このままでは薬剤師としても、個人としてもダメになってしまう・・・そう考えた時、やっと自分の置かれている状況や病気を理解し休養しようと決意したのです。
そして、休養中の生活を保証してくれる健康保険の「傷病手当金」という制度を知りました。
(詳しくは薬剤師の傷病手当金申請マニュアルをご覧ください。)
傷病手当金を利用すれば、生活の心配をせず安心して休養することができるということが分かってきました。
管理薬剤師が傷病手当金を受給するまで
実際に、サイト管理薬剤師が傷病手当金を受けた時の体験をご紹介します。
(サイト管理薬剤師のプロフィールはこちら)
仕事を休む上での一番の問題は、休養中に今までの生活を維持できる程度の休業保障があるかという点です。
生活を維持できないと安心して治療に専念することができません。
特に、家族も増えマイホームローンや子供の学費など毎月の生活費等の固定費が高くなりがちな、中堅薬剤師やベテラン薬剤師の方が休職による影響は大きくなってきます。
退職後に申請して貰えるお金の代表的なものとして、ハローワークで申請を行う雇用保険の失業給付(基本手当)があります。しかし、失業保険給付には上限額があり、給付期間も短いため多くの薬剤師にとっては今までの生活を保つことが難しくなります。
そこで、薬剤師等の給料が一定水準の高さにある職業の方にとっては、傷病手当金を受給することで休職や退職後も安心して療養を続けることができるのです。
傷病手当金を受給する前に、まずは生活の基盤となる現在の給料を確認してみましょう。
下記が、管理薬剤師が勤務していた調剤薬局でもらっていた実際の給料です。
【管理薬剤師のこれまでの給料】
月給 :858,000円
(基本給:400,000円、薬剤師手当:30,000円、業務手当:428,000円)
手取り :615,564円
現物支給:31,750円(社宅会社負担分)
給料の締日:月末
給料支払日:翌月10日
支給額がいくらか計算してみた
では、管理薬剤師の場合どのくらいの金額が受給できるのでしょうか?
傷病手当金は、これまでの月給の3分の2程度が支給される制度です。
(詳しくは薬剤師の傷病手当金申請マニュアルをご覧ください。)
しかし、実際に計算してみないと受給金額がわかりません。
後で「こんなはずではなかった」とならないために、実際の金額を確認してみることが重要です。
支給額が当初の予定より少ない場合には、仕事を長期休業するための障害となってしまいます。
では、月給の3分の2とは実際どのくらいの金額なのでしょうか?
仕事を辞めて療養に集中できるほどの金額となるのでしょうか?
支給額を計算してみた
実際に、傷病手当金がいくらもらえるのかを、サイト管理薬剤師の給料で計算してみましょう。
傷病手当金の支給額の下記の計算式で算出します。
【1日当たりの金額 (計算式)】
傷病手当金の計算をするための報酬には、基本給のほか、各種手当、借り上げ社宅や交通費などの現物支給や賞与についても対象となります。
管理薬剤師の1カ月の報酬額は次の計算になります。
【会社から支給された1ヶ月の賃金】
858,000円(月給) + 31,750円(現物支給等) = 889,750円
私の場合、実際に会社からもらっていた賃金は会社負担分の住居費も含め889,750円ということになります。
ただし、計算式には標準報酬月額を使用しますので、協会けんぽのサイトで確認します。
今回は、平成31年度保険料額表(平成31年4月分から)の東京で確認してみます。(都道府県によって金額が若干異なる場合があります)
上記票を確認すると、報酬月額が889,750円ですので、標準月額は41等級の880,000円であるということが分かります。
直近の継続した12カ月の標準報酬月額は今回同じなので、平均額としても今回は880,000円です。
これを計算式に当てはめて支給日額を算出します。
【日額】
880,000円 ÷ 30日 = 29333.3333円
≒ 29,330円(10円未満四捨五入)
【支給日額】
29,330円 ÷ 2/3 = 19553.3333円
≒ 19,553円(1円未満四捨五入)
管理薬剤師の場合、1日休んだ場合1万9553円の給付が受けられるということが分かりました。
そして、もし1ヵ月単位で休んでしまった場合には、次のような給付金額になります。
【1ヶ月の傷病手当金支給額】
- 28日の月 ・・・ 54万7484円
- 30日の月 ・・・ 58万6590円
- 31日の月 ・・・ 60万6143円
(2月)
(4,6,9,11月)
(1,3,5,7,8,10,12月)
これまでの手取り額と同等の金額が傷病手当金で支給される計算になりました。
ただ、支給月の日数によって金額が変動するようです。
※ 傷病手当金の支給額計算には賞与や現物支給なども加えるため、ボーナスの支給額が多い人はこれまでの月々の手取り額より多くなる場合もあります。
傷病手当金の支給額は思ったより多い
傷病手当金について詳しく調べ計算をしていくと、傷病手当金がとても手厚い保障だということが分かります。
給料の3分の2程度の保障ということで、振り込まれる金額がいつもの3分の2程度かと勝手にイメージしていましたが、実際はこれまでの手取り額に近い金額が支給されるということがわかりました。(あくまで管理薬剤師の場合ですので、個々の状況に合わせて計算してみてください。)
これまでの手取り額が61万5564円に対して傷病手当金の支給額(31日の場合)は60万6143円です。
実際の給料では社会保険料や所得税、住民税など各種控除額が差し引かれた手取りですので、一概に比較はできませんが、口座に振り込まれる額としてはこれまで同等の金額になりそうだということが分かりました。
退職後に必要な支払いを計算してみる
支給される傷病手当金の額は、今までの給与の手取り額と同等でした。では、退職し傷病手当金のみで生活する場合に、支給された傷病手当金から支払う保険料などのお金はどのくらいあるのでしょうか?
実際に、管理薬剤師の給与明細に書かれていた控除額は次の項目です。
【給与から控除されていた金額】
〇健康保険料:44,132円
〇厚生年金保険料:56,730円
〇雇用保険料:2,574円
〇所得税:68,750円
〇住民税:38,500円
〇住居費:31,750円
健康保険料について
退職後の健康保険については、次の3つのいずれかに加入することになります。
- 任意継続健康保険に加入
- 国民健康保険に加入
- 家族の健康保険の被扶養者になる
次の会社に就職すれば再び健康保険に加入することになりますが、今回はあくまで傷病(うつ病)による療養を想定していますので、この3つでの判断することになります。
私の場合、家族を扶養していたため(3)の家族の被扶養者にはなれません。
残された選択肢は任意継続か国民健康保険への加入ということになります。
これら2つのうち保険料が安いほうを選択することになります。
任意継続被保険者は、それまで会社が負担していた保険料も自分で払うことになるため、通常であれば、保険料は退職前の2倍(9万円弱)の金額になります。
ただし、保険料の上限額が定められていますので、私のような退職前の収入が多かった人の場合には任意継続被保険者の保険料(月額)は約3万円ほどになることが分かりました。
参考:協会けんぽのサイト
それに対し、国民健康保険の保険料は、前年の所得金額を基礎として算出されるため、退職前の収入が多かった私の場合には保険料も高くなり月額6万円弱となってしまうことが分かりました。
以上のことから、私の場合は任意継続健康保険に加入した方が良いということが分かりました。
これまでの健康保険料:44,132円
退職後の任意継続健康保険料:約3万円
退職後の国民健康保険料:約6万円
厚生年金保険料について
会社を退職した場合、14日以内に国民年金への切り替えが必要です。
ただし、退職により保険料の支払いが難しい時は、「保険料免除制度・納付猶予制度」を利用することができます。
今回は、傷病で退職した場合を想定していますので、国民年金の免除申請を行う形で考えてみます。
これまでの厚生年金保険料:56,730円
退職後の国民年金保険料:0円 (全額免除)
雇用保険料について
退職したため、雇用保険料の支払いはなくなります。
これまでの雇用保険料:2,574円
退職後の雇用保険料:0円
所得税について
「傷病手当金」や「育児休業手当金」などは、いずれも非課税所得のため、所得税は課されません。
これまでの所得税:68,750円
退職後の所得税:0円(非課税)
住民税について
住民税は前年の所得に対して課税されますので、収入が多い人が仕事を辞めた時に負担になるのは一般的にこの部分になるといわれています。
多くのサラリーマン薬剤師の方は、大幅な昇給などがない限り住民税の変動は少ないので、基本的には退職後の住民税は退職前とほぼ同額になるかと思います。
ただ、管理薬剤師の場合は、事前に資産形成などを行っていたおかげで退職後の住民税が前年より大幅に減額になることが分かりました。
年収1000万円を超える管理薬剤師の場合、いままでの住民税も本当は6万円以上になるのですが、節税対策により3万8500円となっておりました。
今回は、課税所得が200万台まで抑えることができたため、住民税が概算で約1万5000円ほどになる予定です。
何かあった時に、役に立つのが資産形成や節税の良さだと今回実感しました。
節税について興味がある薬剤師の方は「薬剤師のための資産形成」ページを参考にしてみてください。
これまでの住民税:38,500円
退職後の住民税:38,500円(一般的)
退職後の住民税:約15,000円(管理薬剤師の場合)
住居費について
管理薬剤師は会社の社宅に住んでおりますので、住居費の支払いは会社と個人の折半になっていました。
そのため、もし退職する場合には会社負担分も含めて個人で全て支払う必要が出てきます。住居費については退職後に療養する場合には、今より支出が増えることになります。(引越し先の家賃などにもよります)
これまでの住居費:31,750円
退職後の住居費:63,500円
退職後の支払い(まとめ)
退職前後の必要費用(支出)の比較をまとめると、下記のようになることが分かりました。
【退職後にかかる費用】
〇健康保険料:44,132円 → 30,000円
〇厚生年金保険料:56,730円 → 0円
〇雇用保険料:2,574円 → 0円
〇所得税:68,750円 → 0円
〇住民税:38,500円 → 15,000円
〇住居費:31,750円 → 63,500円
退職後の1カ月費用合計:108,500円
傷病手当金の支給額(31日の場合)の60万6143円から、この費用(合計108,500円)を差し引くと49万7643円になります。
もともと、保険料などの費用は給料から差し引かれていたものですので、退職した場合にはこの費用を傷病手当金で補っていくことになります。
そのため、傷病手当金(31日の場合)は60万6143円ですが、給料でいう手取り額に該当するのは49万7643円になります。
計算すると、私の場合は31日の月では約81%、28日の月でも約71%が傷病手当金により保障されることが分かりました。
傷病手当金は収入ではないため非課税です。
退職後には国民年金保険料の免除申請等をし、月々の支払を減らすことができます。
管理薬剤師に傷病手当金が支給される
うつ病などの精神疾患になると、思考が停止したり視野が狭くなってしまうものです。
仕事を辞めることばかりに意識が行ってしまい、傷病手当金のような公的な保障制度の利用については考えが及ばないことがあります。
しかし、社会保険料をこれまで真面目に収めてきたのですから、受けられる保障はしっかりと受けたいものです。
私の場合は幸運なことに「協会けんぽ」への問い合わせやインターネット等の検索で「傷病手当金」制度を知り、申請にたどり着くことができました。
そして、実際に『傷病手当金』が口座に振り込まれた時の通帳がこちらの写真です。
事前の計算通り60万6143円が振り込まれているのが分かると思います。
ここまで来ることができれば、あとは治療や療養に集中するだけですね。
管理薬剤師が傷病手当金を受給するまでの実際のスケジュールから、傷病手当金の申請で困ったこと、傷病手当金申請の注意点などを簡単に説明していきます。
傷病手当金受給のスケジュール
実際に、傷病手当金申請マニュアルに沿って申請し、無事に傷病手当金を受給することができました。
傷病手当金が申請後どのくらいの期間で振り込まれたのか、当サイト管理薬剤師の実際の申請から受給までのスケジュールについて見ていきましょう。
1月15日より仕事を休む
2月までは仕事を休まずに頑張ろうかと思っていましたが、肉体的にも精神的にも限界を迎えてしまい、1月15日から仕事を休むことになりました。
年末年始の連休も待期期間(3日間)とできるため、私の場合には12月29日から12月31日を待期期間と設定しました。
申請の仕方などを、協会けんぽに電話して確認しましたが、待期期間が3日間必要であることなど基本的なことは教えてもらえますが、年末年始の連休を待期期間にした方が良いなどの柔軟なアドバイスは受けられませんでした。あくまで申請者が自分で考えるようです・・・。
1月30日 病院受診
これまで病院へは毎月1回の通院治療を継続していました。
1月15日の仕事を休んだ時点で病院に行くことも考えましたが、結局は受診日である1月30日まで自宅で療養することになりました。
1月30日の診察で、1月15日から仕事を休んでいることや「傷病手当金」受給の希望を伝え、このタイミングで、診断書も発行となりました。(既に過去2回ほど診断書は出ています)
2月10日 給料日(1月分)
管理薬剤師が勤務する薬局は、給料が月末締めの翌月10日払いです。
うつ病で休んだ1月の給料が支払われましたが、満額ではありませんでした。
そのため、傷病手当金を申請することにしました。
2月12日 病院(医師)に1月分の申請書記載を依頼
2月11日は病院が休みであったため、翌12日に1月分の傷病手当金支給申請書記載の依頼をするため病院を訪れます。
12月末の連休を待期期間とするため、申請書の請求期間は12月と1月分の2カ月分で記入してもらう必要があります。(協会けんぽへ確認)
医師には前回の診察時に話しているため、この日は病院の窓口で手続きをするだけで終わりましたが、医師の申請書記入には1週間から2週間かかると言われてしまいます。(結構かかりますね・・・)
2月20日 会社より傷病手当金の申請書が届く
会社から1月分の傷病手当金支給申請書(事業主記入用)が送られてきました。
10日の給料振込を確認した後に、会社に傷病手当金の申請書の記入を依頼したため、どうしても給料日から申請書が届くまでの間にタイムラグが生じてしまいます。
また、うちの会社では傷病手当金を活用した実績がないため、会社も制度に詳しくなく税理士や社労士などへの確認が必要だったようです。
中小企業の薬局開設者では、「傷病手当金」という制度自体を知らないということがあるのです。友人の薬局開設者にも相談しましたが、彼も「傷病手当金」を知りませんでした。
2月27日 医師記載の傷病手当金申請書をもらう
月に1回の病院の受診日です。
「傷病手当金申請書ができましたので取りに来てください」との連絡が来ていたので、受診のタイミングで申請書を受け取ることになりました。
2月12日の申請書記入の依頼から受け取りまでに2週間ほどかかりました。事前に受けた説明通りですが、生活保障である傷病手当金ということを考えれば、記入にかかる時間は少し遅い印象です。
しかも、帰宅後に申請期間に誤りが見つかります。
申請書の請求期間は12月と1月の2ヶ月分でお願いしていたのに、1月分のみの記載であったため再発行となりました。
即日再発行されたため、病院に取りに戻りました。
2月は1日も出勤していませんが有給休暇の消化で給料の支払いがあるため、今回は医師に傷病手当金申請書記入の依頼はしませんでした。
2月28日 傷病手当金申請書を協会けんぽに郵送
医師(療養担当者)と会社(事業主)記入の申請書がそろったため、自分(被保険者)で記入する2枚の申請書を含めた4枚をまとめて、保険者(協会けんぽ)に郵送で提出しました。
あとは、傷病手当金が否認されなければ銀行口座に振り込まれるはずなので結果を待つこととなります。
3月10日 協会けんぽより傷病手当金(1回目)が振り込まれる
無事に初めての傷病手当金(1月分)が銀行口座へ振り込まれました。
1回目の傷病手当金の支給は、申請書の提出(郵送)から振込みまでで約10日かかったことになります。
ただ、医師への申請書記載依頼からの時間を考えれば約1カ月の時間を要したといえます。
本日は、会社の給料日(2月分)ですが、2月に関しては有給休暇の消化で給料が満額支給されていたため、2月分の傷病手当金申請は見送ります。
3月26日 病院(医師)に2-3月分の申請書記載を依頼
月に1回の病院の受診日です。継続して労務に就くことが難しいため医師に傷病手当金支給申請書の記載を依頼することになります。
2月分は年次有給休暇の使用により給与が満額支給されていたため、今回は2月と3月のあわせて2カ月分の申請書の記載を依頼しました。
病院に申請書を取りに来なくて済むように、今回より記入後の申請書の郵送(切手代84円実費支払い)をお願いしました。
4月11日 病院から申請書が郵送で届く
3月26日の依頼日からは、2週間以上が経過しています。
記載をお願いした申請書の請求期間が診察時より先の日付であったため、医師は4月に入ってから申請書に記入したようですが、やはり医師の記載に10日ほどの期間がかかっているようです。
4月11日 傷病手当金申請書を協会けんぽに郵送
病院から申請書が届いた日に、すぐに書類をまとめ協会けんぽに申請書を提出(郵送)しました。
2度目のため要領が分かり意外とすぐに書類の準備ができました。
4月21日 協会けんぽより傷病手当金(2回目)が振込まれる
2回目の傷病手当金(3月分)が無事支給され、申請書に記載した銀行口座へお金が振り込まれました。
2回目の傷病手当金の支給も、1回目同様に申請書の提出(郵送)から約10日ほどでした。
傷病手当金を実際に受給した感想
傷病手当金は、うつ病等の精神疾患で仕事を休んだ場合にも給付される公的医療保障であり、支給額もこれまでの給与の3分の2と手厚い保障となっています。
しかし、「傷病手当金」が一般的に知られておらず、医師や会社もその情報を積極的に提供してくれないことが分かりました。
特にサイト管理薬剤師の場合には、「傷病手当金」の利用に関しては医師からは話がなく、本人の申し出をきっかけに初めて医師と「傷病手当金」について話すことになります。
その後も病院側からは申請書の記載などについての特別な案内はなく、あくまで患者側が自分で調べて記載を依頼するものだと感じました。
精神疾患がある患者や、病気やケガで通常の判断力を欠いた状態であれば、利用できるはずの「傷病手当金」が給付されないということも大いに考えられます。
知識不足が生活の困窮につながらないように、薬局開設者や医療従事者も対応を考える必要があるのではないかと、患者の立場になって感じたところです。
手続きに関しても、医師や会社記入の書類をそろえる必要があり、傷病手当金が支給されるまでに約1カ月の時間を要することが分かりました。
公的保障に限らず日ごろから貯蓄や、万が一に備えた保険の加入も検討する必要があるのではないでしょうか。
傷病手当金受給の注意点まとめ
- 傷病手当金を知らない薬局開設者もいる
- 医師も傷病手当金について教えてはくれない
- 退職日に出社してはいけない
- 医師の申請書記入に1〜2週間かかる
- 申請から振込までは約10日かかった
- 全ての手続きに約1カ月かかる
- 傷病手当金は支給月の日数により変動する
申請から振込などにかかる時間は健康保険組合や健康保険協会などにより異なる可能性があります。
これは、あくまでサイト管理薬剤師の体験によるものですので参考程度にしてください。必ずご自身で確認してみてください。
傷病手当金以外の保障や保険との比較
傷病手当金についてこれまで見てきましたが、退職時や就労困難時にもらえる保障や保険には他にどのようなものがあるでしょうか?
失業保険(基本手当)や民間の就業不能保険との比較をしてみます。
雇用保険の基本手当(失業給付)との比較
退職した場合に、傷病手当金以外で利用できる公的制度しては雇用保険の基本手当(失業給付)があります。(詳しくはコチラ)
私の場合、離職時の年齢30〜44歳に該当するのでハローワークの失業保険は上限額の7570円(日額)となります。
1日当たりの支給額を比較すると、傷病手当金受給では1万9553円、失業保険では7570円と大きな違いが出てくることが分かります。
1日当たりの支給額
- 傷病手当金 : 19,553円
- 失業保険 : 7,570円
雇用保険の失業給付では、1カ月(31日)23万4670円ですので、傷病手当金の半分以下であり、これまでの月給の3分の1に満たないということが分かりました。
月給の3分の2が支給される傷病手当金が利用できるなら、傷病手当金を利用した方が良いのは明らかですね。
傷病手当金と失業給付は同時に支給されることはありませんが、傷病手当金受給期間(1年半)終了後働ける状態になった場合に、失業保険を受給することが可能です。念のため、受給期間の延長(退職日から4年間まで延長可)を申請しておきましょう。(受給期間の延長について(厚生労働省))
失業保険の給付額は少ないため、これまでの生活を維持することが困難な可能性があります。
民間の就業不能保険との比較
傷病手当金が手厚い保障ということが分かりましたが、民間の保険では同じような保障はあるのでしょうか?
調べてみると、多くの就業不能保険では、うつ病などの精神疾患は保障の対象外とされているようです。理由としては、精神疾患が目で見たり触ったりして分かるようなものではなく、傷病の状態や改善の判断などが難しく保険適用の根拠に乏しいことがあげられます。
しかし、すべての就業不能保険が精神疾患を対象外としているというわけではなく、最近ではうつ病等の精神疾患にも対応している就業不能保険がでてきています。
ただ、どのような場合に保険金が支払われるかは商品によって異なるようなので、各社の商品を比較し、どのような場合に支払対象となるのかよく確認するようにしましょう。
ちなみに、私が調べたところ月額50万円の給付保険で保険料は月額1万円前後でした。(給付金は月額5万円などの少額からでも申し込めます。)
精神疾患が原因で仕事に就けなくなった場合の給付は、民間の就業不能保険も傷病手当金と同じように、最大1年6ヶ月(18回まで)の給付となっているようです。
傷病手当金だけでは不安な方は、民間の就業不能保険も上手に組み合わせるとより安心です。
詳しくは、専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談することをお勧めします。
保険マンモスの無料保険相談では、お金のプロ、ファイナンシャルプランナーが保険を含めた家計の見直しを行ってくれます。
私も定期的にライフプランの作成や調整のために無料相談をお願いしています。
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